水力発電、特に小水力発電について少し。
「地域の川で発電できないの?」とか「あの川で発電ができるのではないか?」という疑問やアイディアをお持ちの方がいらっしゃると思います。実際に行政の窓口にもこういう質問は多いようで、前職の時からチラホラ相談を受けました。
水力発電も実はかなりハードルが高く、なかなか一筋縄ではいきません。権利関係と許認可関係が引っかかることが多いみたいです。また、初期投資が大きいことや水量の調査に時間がかかることも開発が簡単に進まない理由の一つです。
ですがその前に、まずその川や水路では本当に発電できるのか?という事も課題です。
水力発電は水の量と落差、両方が大切な要素です。たくさんの水が流れていても、高低差のない水路や河川では発電しにくいのが現実。
水力発電所の出力(kW)は、ざっくり下の式で計算ができます。
- 出力(kW)=水の流量 [㎥]×有効落差 []×9.8×効率(60~85%程度)
ここで流量の㎥/秒というのはどのくらいかというと1㎥が1tです。毎秒1tの水が流れていても、落差が30センチメートルしかなければ85%の効率で計算して約2.5kW・・・ということです。
1㎥/秒×0.3m×9.8×85%=2.499kW
結構少ないですね。実際には毎秒1tの水というのは結構な量で、そして普通の水路ではなかなか1mの落差もなかったりします。
逆に0.3㎥/秒の水量でも、急流で落差が30mとれればかなりの発電量になります。
0.3㎥/秒×30m×9.8×85%=74.97kW
どうでしょうか。家庭用のお風呂のお湯一杯が200ℓ前後(=0.2t)と考えると、毎秒毎秒お風呂があふれるくらいの水が流れている川で、30m位の落差が取れれば70kWとか発電できるのね~という事ですね。
次から流れる川を見たら、この水どのくらい流れているかな、落差ってどのくらい取れるかな、って考えて観察してみてください。
権利関係も、許認可も難しいけれど、まずは入口ですね。導水路の長さや水車発電機の仕様などなどにもよりますが、一般に採算に取れるのが出力100kW程度から、と言われています。(これは本当に目安程度の一般論)
小水力発電もじわじわ件数が増えてきています。日本では昔は農協など地域の組織で水力発電をしていたようですがここ数十年、新しい小水力発電の導入がほとんど進んでいませんでした。(そのため技術の継承が途絶えてしまったとも言えます)。最近の固定価格買取制度により地域の取り組みが始まっているところが出てきています。地域で水を守り、発電をするような小さな取り組みが広がるといいですね。
ちなみに弊社では、水力発電設備等は取り扱っておりません。調査の組み立てや補助金の活用等を含め相談は受けております。対象地域等にもによりますが、専門家と連携して事業化の可能性調査等が実施可能です。